AllyCheck Research

2026年 大学サイト アクセシビリティ実態調査
— 平均72.1点、65%が80点未満から見えた課題

日本の大学サイトでは、ウェブアクセシビリティ対応がどの程度進んでいるのでしょうか。 本記事では、国内の国公立及び大規模私立の大学サイトを対象にAllyCheckによるアクセシビリティ診断を実施し、スコア上位および下位の状況・よく見られる問題・全体傾向を整理しました。 アクセシビリティ改善の参考としてご覧ください。

この調査の元データ(全207サイトの詳細スコア)はAllyCheckのデータBOXにまとめています。

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調査対象: 207サイト 平均スコア: 72.1 最高: 100 最低: 4

AllyCheck Researchはウェブアクセシビリティに関する調査データを公開するプロジェクトです。

この調査の元データ(全207サイトの詳細スコア・検出問題一覧)はAllyCheckダッシュボードの「データBOX」でCSV形式でダウンロードできます。Freeプラン以上のユーザーが取得できます。

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調査概要

  • 調査対象大学サイト
  • 診断ツールAllyCheck
  • 診断エンジンaxe-core
  • 診断対象トップページ
  • 診断日2026年3月
  • スコア算出減点方式(100点満点)

診断環境

比較可能な結果を得るため、以下の環境で診断を行いました。

  • BrowserChromium
  • Viewport1366 × 900
  • Device Scale Factor1
  • Touch無効
  • Localeja-JP
  • UserAgentChrome Desktop
  • JavaScript有効
  • 診断タイミングDOMContentLoaded + 1500ms
※JavaScriptによる遅延読み込みの影響により、待機時間を変更すると診断結果が変わる場合があります。

スコア算出方法

アクセシビリティ問題の重要度に応じて減点する方式で100点満点スコアを算出しています。

問題レベル減点
重大−10
深刻−5
中程度−2
軽微−1
※本スコアはアクセシビリティ状態を比較するための簡易指標です。WCAG適合を直接示すものではありません。

調査結果サマリー

今回の調査では80点以上のサイトは35%にとどまりました。

全体統計

  • 平均スコア72.1
  • 中央値75
  • 最高スコア100
  • 最低スコア4
  • 調査対象207サイト

アクセシビリティスコア分布

90–100
27
27
80–89
45
45
70–79
60
60
60–69
39
39
50–59
17
17
40–49
6
6
30–39
9
9
20–29
3
3
0–9
1
1
80点以上 72サイト 50〜79点 116サイト 49点以下 19サイト

大学サイト全体でスコアにばらつきが見られます。

アクセシビリティスコア上位の状況

対象スコア重大深刻中程度軽微
1国際教養大学1000000
2和歌山県立医科大学980010
3北見工業大学970011
4長岡技術科学大学970011
5福山市立大学970011
6東北大学950021
7金沢美術工芸大学940030
8静岡文化芸術大学940030
9専修大学940030
10岐阜大学930110

自分のサイトのアクセシビリティスコアを確認してみましょう。

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下位の状況

本記事では下位サイト名の公開を控えています。スコアの分布と問題傾向を整理しています。

対象スコア重大深刻中程度軽微
198354421
199354421
200343622
201314441
202304521
203304521
204245422
205234631
206234631
20746622

よく見られた問題

調査では以下の問題が多く見られました。

問題説明影響件数割合
コントラスト比不足色のコントラスト比が不十分です(4.5:1以上必要)深刻14168%
ランドマーク構造不足すべてのコンテンツはランドマーク内に配置してください中程度13565%
リンクのテキスト不足リンクには識別可能なテキストが必要です深刻13163%
ランドマーク名の重複ランドマークは一意の名前を持つ必要があります中程度8541%
mainランドマークの欠如ページにはmain ランドマークが1つ必要です中程度7637%
画像の代替テキスト不足画像には代替テキスト(alt属性)が必要です重大6531%
リスト構造の不正リストは正しく構造化してください深刻5627%
代替テキストの重複画像の代替テキストが周囲のテキストと重複しています軽微5125%
h1見出しの欠如ページにはh1見出しが必要です中程度4522%
不正なrole指定許可されていないroleが使用されています軽微4321%

問題の具体例

コントラスト比不足

なぜ重要か — テキストと背景のコントラスト比が不十分だと、ロービジョンの方や明るい環境でのモバイル利用者がテキストを読み取れません。WCAG 2.1では通常テキストに4.5:1以上のコントラスト比が求められています。
HTML
<p style="color: #aaa; background: #fff;">お知らせテキスト</p>

改善例

HTML
<p style="color: #595959; background: #fff;">お知らせテキスト</p>

ランドマーク構造不足

なぜ重要か — ランドマーク要素(header, nav, main, footer)がないと、スクリーンリーダー利用者はページ構造を把握できず、目的のコンテンツへ効率的に移動できません。
HTML
<div>
  <div>ヘッダー</div>
  <div>メインコンテンツ</div>
  <div>フッター</div>
</div>

改善例

HTML
<header>ヘッダー</header>
<nav>ナビゲーション</nav>
<main>メインコンテンツ</main>
<footer>フッター</footer>

考察

今回の調査結果から、教育・研究機関としての情報公開を担う大学ウェブサイトの現状と、今後の改善に向けた重要なトピックが見えてきました。

1. 全体傾向:情報量の多さが招く「構造化」の課題

大学の公式サイトは、受験生・在学生・研究者・地域住民など対象が幅広く、ページ内の情報密度が非常に高くなる傾向にあります。今回の調査データでも、それがアクセシビリティ上の課題として顕著に現れています。

特に「中程度」の影響として多く検出されたのが、リージョン(Region)による情報の包含ランドマークの適切な使用に関する不備です。

  • 多くのサイトで、メインコンテンツやナビゲーションが適切なHTML5要素(main, navなど)でマークアップされていないケースが見られました。
  • 情報が整理されていないと、スクリーンリーダーを利用するユーザーが「今、ページのどこを読んでいるのか」を把握しにくくなります。

2. 「見出し」の運用:情報のアクセシビリティを支える骨組み

もう一つ目立った課題は、h1見出しの欠如見出しレベルの不整合です。

  • スコアが80点台から90点台前半のサイトにおいて、ページ内に <h1> が存在しない、あるいは視覚的なデザインを優先して見出しの順番(h1→h2→h3)が前後しているケースが散見されました。
  • 大学サイトのようにテキスト中心の情報を正確に伝える必要がある媒体において、文書構造の正しさはアクセシビリティの基本であり、SEOの観点からも重要です。

3. 深刻な問題:デザインと使い勝手のトレードオフ

深刻な影響を与える問題として最も多かったのは、テキストのカラーコントラスト不足です。

  • スクールカラーをデザインに取り入れる際、白背景に淡い色を配置したり、画像の上に文字を重ねたりすることで、読み取りに必要なコントラスト比が確保できていない事例が多くありました。
  • また、名前のないリンクも課題です。「詳しくはこちら」といった画像ボタンに適切な代替テキストがない場合、視覚障害を持つユーザーは何のリンクなのかを判断できません。

4. まとめ:誰もが学びにアクセスできるプラットフォームへ

今回の調査でスコア100点を獲得した大学がある一方で、50点台を下回るサイトも存在し、対応状況には大きな開きがあることが分かりました。

大学は多様なバックグラウンドを持つ人々が情報を得る場所です。「デザインの美しさ」と「情報の伝わりやすさ(アクセシビリティ)」は対立するものではありません。特に近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)の文脈において、ウェブアクセシビリティの確保は「誰一人取り残さない教育環境」を構築するための必須条件と言えるでしょう。

自動診断ツールで検出されたこれらの課題は、マークアップの見直しやデザインガイドラインの微修正で改善可能なものが多く含まれています。今回の調査結果が、各大学のウェブ担当者様にとって、より「開かれた大学サイト」を目指す一助となれば幸いです。

自分のサイトを診断する

自分のウェブサイトのアクセシビリティを簡単に確認することができます。
URLの入力により診断できます。

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注意事項・免責事項
本調査は自動診断ツールの技術的特性を踏まえた参考情報であり、ウェブアクセシビリティの最終的な適合判定を示すものではありません。 診断は、公開されているウェブページのHTML構造を対象とした自動解析に基づいており、専門家によるアクセシビリティ監査や実機検証とは異なる結果となる場合があります。
また、診断は特定の時点で取得されたウェブページを対象としており、その後のサイト構造変更、コンテンツ更新、URL変更、取得タイミングの差異などにより、実際の状況と異なる場合があります。 ウェブサイトによっては以下の影響により、待機時間の設定によって診断結果が変化する場合があります。
  • JavaScriptによる遅延読み込み
  • スライダーUI
  • 広告
  • 外部埋め込みコンテンツ

本調査はウェブアクセシビリティの現状把握を目的としたものであり、特定の企業やウェブサイトの評価、ランキング、批判等を目的とするものではありません。 記事内容および調査結果の利用により生じたいかなる損害についても、AllyCheck は責任を負いません。