AllyCheck Research

2026年 日経225構成企業サイト アクセシビリティ実態調査
— 平均80.7点、約6割が80点以上も企業間のばらつきが明らかに

日本の企業サイトでは、ウェブアクセシビリティ対応がどの程度進んでいるのでしょうか。 本記事では、日経225構成企業225社の公式サイトを対象にAllyCheckによるアクセシビリティ診断を実施し、スコア上位および下位の状況・よく見られる問題・全体傾向を整理しました。 アクセシビリティ改善の参考としてご覧ください。

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調査対象: 225社 診断実施: 215サイト 平均スコア: 80.7 最高: 100 最低: 19

AllyCheck Researchはウェブアクセシビリティに関する調査データを公開するプロジェクトです。

この調査の元データ(全225社の詳細スコア・検出問題一覧)はAllyCheckダッシュボードの「データBOX」でCSV形式でダウンロードできます。Freeプラン以上のユーザーが取得できます。

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調査概要

  • 調査対象日経225構成企業225社の公式サイト
  • 診断ツールAllyCheck
  • 診断エンジンaxe-core
  • 診断対象トップページ
  • 診断日2026年3月
  • 診断実施215サイト(10サイトは診断不可)
  • スコア算出減点方式(100点満点)
※225社のうち10サイトは、サーバー側のHTTP/2プロトコルエラー(6件)または接続タイムアウト(4件)により診断を実施できませんでした。本レポートのスコア集計・ランキングは診断が完了した215サイトを対象としています。

診断環境

比較可能な結果を得るため、以下の環境で診断を行いました。

  • BrowserChromium
  • Viewport1366 × 900
  • Device Scale Factor1
  • Touch無効
  • Localeja-JP
  • UserAgentChrome Desktop
  • JavaScript有効
  • 診断タイミングDOMContentLoaded + 1500ms
※JavaScriptによる遅延読み込みの影響により、待機時間を変更すると診断結果が変わる場合があります。

スコア算出方法

アクセシビリティ問題の重要度に応じて減点する方式で100点満点スコアを算出しています。

問題レベル減点
重大−10
深刻−5
中程度−2
軽微−1
※本スコアはアクセシビリティ状態を比較するための簡易指標です。WCAG適合を直接示すものではありません。

調査結果サマリー

今回の調査では約6割のサイトが80点以上でした。

全体統計

  • 平均スコア80.7
  • 中央値83
  • 最高スコア100
  • 最低スコア19
  • 調査対象225
  • 診断実施215サイト

アクセシビリティスコア分布

90–100
69
69
80–89
66
66
70–79
43
43
60–69
18
18
50–59
9
9
40–49
5
5
20–29
4
4
10–19
1
1
80点以上 135サイト 50〜79点 70サイト 49点以下 10サイト

アクセシビリティスコア上位の状況

企業名スコア重大深刻中程度軽微
1中外製薬1000000
1富士電機1000000
1レーザーテック1000000
1コニカミノルタ1000000
1ニコン1000000
1東急1000000
7企業7990001
8企業8980010
9企業9980010
10企業10980010

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下位の状況

本記事では下位サイト名の公開を控えています。スコアの分布と問題傾向を整理しています。

企業名スコア重大深刻中程度軽微
206483331
207483402
208453421
209433502
210434231
211274532
212243822
213243822
214205442
215194643

よく見られた問題

調査では以下の問題が多く見られました。

問題説明影響件数割合
ランドマーク構造不足すべてのコンテンツはランドマーク内に配置してください中程度11453%
コントラスト比不足色のコントラスト比が不十分です(4.5:1以上必要)深刻10047%
リンクのテキスト不足リンクには識別可能なテキストが必要です深刻9946%
h1見出しの欠如ページにはh1見出しが必要です中程度6028%
ランドマーク名の重複ランドマークは一意の名前を持つ必要があります中程度6028%
mainランドマークの欠如ページにはmain ランドマークが1つ必要です中程度5023%
リスト構造の不正リストは正しく構造化してください深刻3818%
代替テキストの重複画像の代替テキストが周囲のテキストと重複しています軽微3617%
不正なrole指定許可されていないroleが使用されています軽微3114%
見出しレベルの順序不正見出しレベルは順番に使用してください中程度3114%

問題の具体例

ランドマーク構造不足

なぜ重要か — ランドマーク要素(header, nav, main, footer)がないと、スクリーンリーダー利用者はページ構造を把握できず、目的のコンテンツへ効率的に移動できません。
HTML
<div>
  <div>ヘッダー</div>
  <div>メインコンテンツ</div>
  <div>フッター</div>
</div>

改善例

HTML
<header>ヘッダー</header>
<nav>ナビゲーション</nav>
<main>メインコンテンツ</main>
<footer>フッター</footer>

コントラスト比不足

なぜ重要か — テキストと背景のコントラスト比が低いと、低視力の方や高齢者、屋外など明るい環境での閲覧時にテキストが読みにくくなります。WCAG 2.1では通常テキストに4.5:1以上のコントラスト比を求めています。
HTML
<!-- コントラスト比 2.3:1 — 基準未達 -->
<p style="color: #aaaaaa; background: #ffffff;">
  お知らせ:サイトメンテナンスのお知らせ
</p>

改善例

HTML
<!-- コントラスト比 7.0:1 — 基準達成 -->
<p style="color: #595959; background: #ffffff;">
  お知らせ:サイトメンテナンスのお知らせ
</p>

考察

今回の調査結果から、日経225構成企業間でのアクセシビリティ対応には顕著な格差があることが浮き彫りになりました。以下に詳細を整理します。

1. 全体傾向:二極化が進む対応状況

スコア100点を達成している企業が複数存在する一方で、60点台を下回る企業も散見されます。

満点に近いスコアを獲得している企業は、HTMLのセマンティックなマークアップやARIA属性の適切な利用など、技術的な要件を高いレベルで充足しています。これは、企業のアクセシビリティに対する意識の高さと、継続的な運用の成果と言えます。

2. 主な技術的課題:情報の適切な構造化

調査データ全体を通じて、以下の「中程度」の影響を与える問題が数多く検出されました。

  • ランドマークの不足と重複 — 多くのサイトで、mainnavigationといったランドマークロールが適切に設定されていない、あるいは重複して存在しているケースが見られました。スクリーンリーダー利用者がページ全体の構造を把握し、特定のセクションへ素早く移動することが困難になっています。
  • 見出しレベルの不整合 — 見出しタグ(h1〜h6)の順序が論理的でないページが多く見受けられます。視覚的なデザインを優先するあまり、構造的な意味付けが疎かになっている実態が伺えます。

3. デザイン上の課題:コントラスト比と識別性

「深刻」な問題として最も頻繁に検出されたのは、テキストのカラーコントラスト不足です。

  • 多くの企業サイトにおいて、背景色と文字色のコントラスト比がWCAG 2.1の基準(4.5:1以上)を満たしていませんでした。
  • ブランドカラーの使用やトレンドを重視したデザインが、低視力者や高齢者、あるいは屋外の明るい環境での閲覧に支障をきたしていることを示唆しています。

4. インタラクティブ要素の不備:ボタンとリンク

「重大」および「深刻」な問題として、フォームやナビゲーションにおける以下の不備が目立ちました。

  • 名前の欠如 — 画像ボタンやアイコンのみのリンクにおいて、代替テキスト(alt属性)やARIAラベルが設定されていないケースがあります。
  • フォーカス管理の不備aria-hidden="true"が指定された要素の中にフォーカス可能な子要素が含まれているケースがあり、キーボード操作を行うユーザーにとって予期せぬ動作を招く原因となっています。

5. 総括と今後の展望

2024年の障害者差別解消法改正によりウェブアクセシビリティ対応が民間事業者にも求められるようになり、2026年現在、日本を代表する企業においてアクセシビリティへの取り組みは「義務」から「品質」の段階へと移行しつつあります。しかし、今回の調査で明らかになった通り、基本的なHTMLの構造化やコントラストの確保といった基本的なアクセシビリティ要件でさえ、完全には満たされていないのが現状です。

今後は、単にツールによるチェックを通すだけでなく、設計段階からアクセシビリティを考慮する「インクルーシブデザイン」の視点と、定期的な自動・手動診断を組み合わせた継続的な改善サイクルの構築が、すべての企業に求められています。

自分のサイトを診断する

自分のウェブサイトのアクセシビリティを簡単に確認することができます。
URLの入力により診断できます。

AllyCheckで無料診断

今回の調査の元データ(全サイトのスコア・検出問題一覧)はAllyCheckダッシュボードの「データBOX」に掲載しており、CSV形式でダウンロードできます。

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注意事項・免責事項
本調査は自動診断ツールの技術的特性を踏まえた参考情報であり、ウェブアクセシビリティの最終的な適合判定を示すものではありません。 診断は、公開されているウェブページのHTML構造を対象とした自動解析に基づいており、専門家によるアクセシビリティ監査や実機検証とは異なる結果となる場合があります。
また、診断は特定の時点で取得されたウェブページを対象としており、その後のサイト構造変更、コンテンツ更新、URL変更、取得タイミングの差異などにより、実際の状況と異なる場合があります。 ウェブサイトによっては以下の影響により、待機時間の設定によって診断結果が変化する場合があります。
  • JavaScriptによる遅延読み込み
  • スライダーUI
  • 広告
  • 外部埋め込みコンテンツ

本調査はウェブアクセシビリティの現状把握を目的としたものであり、特定の企業やウェブサイトの評価、ランキング、批判等を目的とするものではありません。 記事内容および調査結果の利用により生じたいかなる損害についても、AllyCheck は責任を負いません。